正義と微笑

 僕は、きょうから日記をつける。このごろ自分の一日が、なんだか、とても重大なような気がしてきたからである。人間は、十六歳と二十歳までの間にその人格がつくられると、ルソオだか誰だか言っていたそうだが、或いは、そんなものかもしれない。…

 

 そんな書き出しで始まる、この日記の体裁をした小説を、四月頃に大学の通学途中で読んでいた私は、何度も自嘲せずにはいられなかった。日記の中で散々大義を語りながら、受験に失敗した途端、このざまである。不合格を知った後の主人公の無気力さも、今の自分には痛いほど理解ができた。そんなこんなで、どうせ自分も日記をはじめるのなら、こいつの大義を名前にしてやろうと思ったわけである。

 

 前振りが長くなってしまったが、この無気力さを脱するべく、都内有名私立大に通う私は、東京大学理科一類を再受験することを決意した。いわゆる仮面浪人である。大学の夏休みに入ったと同時に始動して、すでに夏休みの折り返し地点に来てしまったわけだが、自分のペースを保つという意味も込めて、ブログを始めようと思う。